筑波山のふもと、新治村永井に、兵助という百姓の次男坊がおりました。兵助は貧しい百姓の仕事がいやになって、「何とか金持ちになりたい」と村を飛び出し、商家の小僧をしたり荷車ひきをやったりしていましたが、金持ちになるめどはなかなかつきません。

そこで、郷里に帰って、田畠を分けてもらい百姓に戻ろうと思いましたが、「大金持ちになるまでは戻りません」と書置きをしてしまった手前、簡単に戻ることも出来ません。村を目の前にして、兵助は筑波山へと足を向けました。

筑波山まで来ると、「ガマの油あります」という貼紙が、兵助の目に飛び込んできました。ガマの油の製造はいたって簡単で、資本となるお金もそういらないようでした。

「そうか、ガマの油か。こんなものは江戸にはなかったぞ。うまく宣伝すれば売れるかもしれない」兵助は、筑波山頂の石の上で七日間、手を組んで考えました。

そして生まれたのが、かの、「さあさあお立ち会い、一枚が二枚、二枚が四枚・・・・・・」と、おもしろおかしく紙を大きな刀で細かく切った後に、その刃を自分の腕にあてて切るように見せて軟膏薬を販売する、ガマの油売りの口上でした。

筑波書林 発行 つくばの昔話 「永井の兵助とガマ石」より抜粋

アートタウンつくば大道芸フェスティバル(以下アートタウン)は、毎年、つくば市最大のイベント「まつりつくば」の中で実施しています。
国内で開催される大道芸フェスティバルとしては後発組ですが、その発端は、日本の代表的な大道芸である「ガマの油売り口上」が、地元の筑波山で生まれたことが歴史的背景にあり、当初は少人数の大道芸人でスタートしました。

海外で特にヨーロッパは、大道芸が人の感性と技の表現をするコンテンポラリストリートアートとして高く評価されています。 アートタウンは、大道芸界の第一人者である橋本隆雄氏を企画アドバイザーに、緑豊かなつくばの公園を舞台に一貫して世界でも評価される大道芸を紹介してきました。
大道芸とアートが融合して、これまで大道芸が行われる事がなかった環境で、人々がアートを楽しめる2日間だけの町を作る事がアートタウンの目的です。

2002年に東京都が発行したヘブンアーティストで、人々の大道芸に対する捉え方が変わり、これまで考えられなかったジャンルの大道芸を披露する若者が誕生するなど高い成果を上げています。
わが町つくば市からもヘブンアーティストを目指す若者が増え、これからのアートタウンは、その登竜門として関係者から期待されています。

大道芸の他にも、地元クリエイタ―によるアート作品の野外ギャラリー、アート作品を自分で制作してみるものつくり村など、つくばから情報発信する「見るアート」「感じるアート」「体験するアート」を柱に、アートを披露する人も、堪能する人も心地よくて、面白いフェスティバルです。
2010年からは新たな場所へ会場を移します。より面白いアートタウンをご期待下さい。